谷のコロナウイルス状況
2020年 03月 17日
日本でもニュースで報道されている通り、
イタリアのコロナウィルス状況は日に日に状況が変わっています。
沢山の方が心配してくださっていますが、私は元気です!
今の私の周りの状況を書き留めておきます。
この谷、フィエンメ・ファッサ渓谷では、一週間前までは感染者は報告されておらず、
学校は休校だったものの、まだ楽観的な様子でした。
イタリアがまだ一部地域だけの閉鎖状況にあった先々週末、
暇を持て余した子供連れを含むスキー客が谷に押し寄せました。
クリスマス休暇以上の「繁盛」でゴンドラの前には長蛇長蛇の列。
その中にはレッドゾーンから抜け出してくる人の移動もあったわけで、
当然、谷の人の怒りを買いましたが、
その翌日の9日、イタリア全土に移動制限措置の首相令が出され、
スキー場もそれに伴って閉鎖となりました。
観光客のせいだったかどうかは、誰にもわかりませんが、
谷でも日に日に少しずつ感染者数が増えてきています。
隣町カヴァレーゼの病院では病床を確保する準備が始められています。
これまでは感染者は州都トレントの病院に移送されていましたが、
恐らく今後受け入れが難しくなる可能性もあるのでしょう。
移動制限措置というのが実際に、私にどう影響しているかというと、
まず、自己申告書なしでふらふらしていると罰金、懲罰を受けます。
隣村(たった2/3km先)に行くことも禁止されています。
先日は、子供連れのマンマたちが小学校の校庭で歓談していたのを見つかり、
罰金。人と接してはいけないからです。
接する場合には1メートル以上の間隔をあけないといけません。
ただ一人で山を歩くとか、犬の散歩はOKみたいです。
別居している親を訪問することは許されていますが、
老人、疾患がある人に移りやすいため、特に注意するようにと、
また老人ホームには入れなくなっています。
レストランやカフェ、バール、美容院、その他の店舗は休業しましたが、
病院、薬局、銀行、スーパーは開いています。
必要最低限を買うために外出することは問題ありません。
物資も充分に入ってきますので、パニックにはなっていません。
スーパーにはなるべく週に1回だけ、
家族のうち一人だけが買い物に出るように言われています。
レジの前には線が引かれ、前後の客と接近しないようになっています。
薬局は一人つづしか入店できません。
マスクをしている人はここはまだあまりいませんが、店員はマスクをしています。
あとは、とにかく必要のない限り家から出ないように、
手を洗う、除菌する、人と距離をとる、それが一番の予防策だといわれていて、
私たちもかなり注意してやっています。
私の生徒さんがドイツ旅行中に陽性が発覚。
旅先の知人宅で14日間隔離されています。
幸い体調は悪くなく、ひたすら14日が過ぎるのを待っているそうですが、
イタリアにすぐに戻ってこれるかはわかりません。
他の生徒さんの88歳のお母さんは陽性で少し深刻です。
病院からは、若い人のために病床を確保してしなければならない、と
入院を断られたそうです。家に在宅看護が来るそうですが、
感染する恐れがあるため、生徒さんは自分の親に会うことは禁じられています。
それがとても辛そうです。
アレックスのオルガン工房は通常に仕事をしています。
少人数のファミリー経営なので今のところはまだ問題ないという判断です。
従業員の多い工場は閉鎖しているところもあります。
私は音楽学校閉鎖のため教えに行くことはなくなり、
教会でのミサも禁止となったので弾きに行っていません。
コンサートも中止なので、一日中家で過ごしています。
この機会?に家の雑用をしたり、弾いたり、メール書いたり、
こうしてブログを書いたりして時間を潰しています。
本当なら今、私はオルガン搬入のために日本にいるはずだったのですが、
どうするべきかと考えている間に飛行機は欠航となり、移動制限措置が発令し、
帰国できなくなりました。移動制限措置は4月頭まで続きますが、
その後はどうなるのか、日本にいつ安心して飛べるようになるのか、
今はただ見守るしかできません。
谷より少し幅を広げると、
イタリアからオーストリアに抜ける国境のブレンナー峠で
北上する車に対して検疫がされていて、トラックの大大渋滞が発生しています。
一帯一路構想でイタリアとの繋がりが強い中国から先日、
大量の医薬支援物資と医師団が届き、皆とても喜んでいますが、
それに対してEUはイタリアとの国境閉鎖、利子つきの資金援助など、
ヨーロッパ「共同体」ところか、いざとなれば皆わが国優先という態度を
取っていて、イタリア人はかなり不満を抱えています。
イギリスに継いでEUから抜けるのはイタリアではないでしょうか。
この谷はまだ状況がかなり平和だといえるでしょう。
テレビやネットから入ってくる、イタリアのほかの地域の様子を見ていると、
まるで悪い映画を見ているかのようです。しかも終わりが見えず、
日本同様、メディアが必要以上に煽り、情報が錯綜しているので、
不安ばかり駆り立てられます。
この移動制限措置が功を奏して、
一日も早い世界中での収束が見られる日を願い祈るばかりです。
先週FBなどから
「金曜日の18時にバルコニーから音楽を奏でて、コロナウイルスに打ち勝とう!」
っていうメッセージが出回りました。
下をクリックするとその様子の動画ニュースが見れます。
私も家で弾きましたよ~。
イタリア、こんな時にも元気を出そうとがんばっています!
・・・・・・・
リンク
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どうぞ、イタリア、快方に向かいますように。