神奈川のハウスオルガン

神奈川県、三浦半島にあるご家庭に、
アンドレア・ゼーニのハウスオルガンがやってきました。

デザインや音色の種類、お部屋や用途に合わせて
一台一台特注制作されるパイプオルガン。
それぞれの楽器に、それが生まれるまでの温かいストーリーがあります。

イタリアの工房で一度お披露目された後、解体し、
大切に大切に梱包されて、長旅を終えた大箱が、
無事に日本の玄関前に到着!

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駐車場で箱を解体しながら、部品を家の中に運び入れていきます。

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まずは、骨組みを組み立てていきます。
お部屋の中は部品でいっぱい。
これがこの箱の中にすっぽり収まっていくのだから凄い。
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楽器の下部分のメカニックを組み立てながら、鍵盤を設置。
これでオルガンらしい姿が見えてきました。
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次はパイプが入る楽器上部の箱を組み立てます。
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天井ぴったりに収まった楽器の姿!
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次はパイプを一本一本、奥から丁寧に並べながら、
整音、調律作業を施していきます。
この木管パイプも、大小全部ひとつひとつが手作り。
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このオルガンには、4種類の音色のパイプが納められています。
ある程度箱に収まったら、正面の飾り細工を嵌め込みます。
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楽器の顔になるプリンチパルの輝くパイプを、
指紋がつかないよう手袋をして丁寧に並べていきます。
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全部のパイプが収まって音が鳴るようになったら、
ここからがいよいよ要とも言える作業です。
パイプ一本一本に命を与える整音作業、そして調律。
一本ずつが美しく歌うように、そして他のパイプとも溶け合う音色になるように、
決して妥協せず、自分がイメージしている響きへと、
アンドレアは数日かけて根気強く、息を吹き込んでいきます。
また、美しいタッチの練習ができるよう、鍵盤の調整も綿密に施します。
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約5日間の作業を経て、完成したオルガン!
木調の温かい雰囲気のリビングにとても似合っています。
沢山の願いと祈りが込められたこの楽器。
音楽を愛するご家族の団欒の場に、
美しいハーモニーを響かせる楽器となってくれることを願っています。
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住空間に収められたので、埃などから守るために
観音開きの扉をつけました。
夜など、扉を閉めたままで小さな音で練習することもできます。

正面パイプは王冠のように並ぶように。
それに合わせて、アンドレアの奥さんがデザインし、
おらが谷の木彫り職人が彫り出した彫刻を施しました。
オルガンケースよりも白い木を使って、彫刻が浮き立つようにするのは
ゼーニオルガンの特徴のひとつ。明るい印象です。

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黒鍵の側面、ストップのノブ、足鍵盤の一部、譜面台の象嵌には
赤色の木を使って、おしゃれに統一感を持たせています。
このオルガンに使われている木の種類をざっと数えてもらったら、
なんと12種類もありました!一つの楽器で森林浴ができそう。

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「オルガニスト一人一人、理想としている楽器が違う」というアンドレア。
一台一台の楽器に求められている姿にできるだけ近づこうと、
自分の理念を崩すことなく、常に柔軟に探究し続ける姿には、
生粋の職人気質とプロフェッショナルな魂を強く感じます。
だから、彼の楽器は一台一台に個性があって、面白いです。

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追伸:
常にチャレンジャーなアンドレア。
納豆にも挑戦しました!
人生二回目。一回目の時の納豆と味が違う、と。
よく噛み締めてるんだなあ~(笑)。どこまでも真面目な職人さん。
タイトル「製作中の楽器をバックに納豆を食べるオルガンビルダー」。
この一枚は、私的にはお宝です☆


・・・・・・・
リンク集
2017年夏ドロミテオルガンアカデミーのご案内はこちら。
A.ゼーニ社製、家庭用パイプオルガンのご案内
イタリア旅行情報サイト「JAPAN-ITALY Travel on-Line」で
「オルガニスト吉田愛のドロミテ暮らし」連載中。


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by organvita | 2017-06-19 05:13 | オルガン工房 | Comments(0)

北イタリア・ドロミーティ渓谷で暮らすパイプオルガン弾き吉田愛のスローライフを綴っています。猫のバンブー♂も度々登場。


by organvita
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