イタリアの釣りキチ三平たち

母の日、聖霊降臨祭でもある日曜日は、おらが村の村祭りの日でもあった。
正確に言えば、おらが村は、私たちの住まいがある谷の上部分と、木材工場や湖のある下の、2箇所に分かれているのだが、今日はこの下の地区の祭り。この祭りの目玉は、
その湖(←と呼ばれているが、どうみても池・・)でのマス釣り大会!
2・3日前にこの釣り大会があると知ってから、夫は釣りのことで頭が一杯。というのも、先月My釣竿を新調したばっかりだったのだ。これは試してみる価値大。
早速前日におらが村の釣り具やさんへ、同僚と一緒に申し込みに行き、指定の餌をゲット。参加料、ひとり20ユーロ(約3200円)。昨晩は夜中2時まで仕込みをしていたらしい。私は限界で先に就寝・・・。

朝起きてみると、昨晩の大雨もあがっていた。朝8時の湖の集合時間にぎりぎりに到着すると、他の参加者23名はもうとっくに餌もつけて準備万端の様子。出だしから遅れをとる。
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            釣り大会は朝8時から休憩を挟んで2時間。
         30分ずつx4箇所と、釣り場を移動しながら糸を垂れていく。
        始めに指定された場所は22番。よく見るとイケの淵に番号札が。
        22は私のラッキーナンバー。これはいけるかも?!と期待高まる。
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おたおたとセッティング、餌付けなどをしていると、審査員の「VIA!(始め!)」の声が!
それと同時にみんなヒュンヒュン!と糸を鳴らして釣り糸を垂れ始めた。
あわてて夫、同僚も糸を垂れる。まあ、2時間もあるんだから。のんびりいきましょうよ~。

・・・なんて思っていたら、5分後に隣の兄ちゃんにマスがかかった!!!!
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おおー!いるんだ、ちゃんとお魚が!実は前日、この大会のために(午後は子どもの部)、400匹のマスが放たれたらしい。すごい数!これは釣れないほうがおかしいでしょ。
しかし、こっちの糸が動く気配なし。まあまだ始めたところだからね。のんびりいこうよ。

なんて思っていると、今度は2つ隣りのおじさんが「おお~!」といいながら釣り上げた!
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ちょっとちょっと!!ほとんど同じ場所に糸垂れてるんだからさ、いるんだよ、ここの下にたくさん!と興奮していると、またまた隣の兄ちゃんが釣り上げた!
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ええ~!また~?!だったまだ15分しかたってないよー?!
でもだからさ、いるんだよね、ここの下にね?!たくさんね!!
なんて、期待ばかりは高まりながらも、こっちの糸は反応なし。
なんで??同じ場所じゃん。まあその内こっちに食いつくよ。

・・・・30分経過。「Cambio!(場所交代!)」の号令。あっという間の30分。
隣のお兄さんこの時点ですでに4・5匹ゲット。1メートル横の夫、ゼロ匹。
ラッキーナンバーのはずの22番、意味なし。

4箇所の移動先は、配給されたお魚入れ用の買い物袋に書かれていた。不公平がないように、この数字を頼りに池をぐるっと回りながら釣る。次は4番。気を取り直していこう!
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f0161652_9505234.jpg今回私は応援組に回ったので、その間他の参加者を偵察。
夫と同僚はそれぞれ釣竿一本勝負だったが、中にはこんなキタナイ手を使ってるヤツも。
一本垂れている間に次の一本の仕込みしてる。
むむっ!そんな手があったかー!













第2ラウンド開始。さっきと反対側。隣はまた同じ兄ちゃん。相変わらず次々釣ってる。
夫の竿反応なし。使っているものは同じようなのに不思議。遠くでまた一匹釣り上げた。
夫相変わらずゼロ。
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すると、少し遠くで糸を垂れていた同僚にかかった様子!実は彼は初釣り!夫の指令で私が助けに行く。・・・助けるって、そんな大魚じゃないけれど(笑)。彼のところに行くと魚を片手に少し興奮気味。初魚。でかした。早速釣り針の抜き方を指導し、袋へ投げ込む。

夫のところへ戻ってみると、「一匹釣ったっっっっ!!!」と大喜びしてる。見るとこっちの袋にも一匹入っていた!やった!でかした夫よ!!20ユーロも払ったんだからさ、今晩のおかず分くらいは釣ってよ!なんて言ってプレッシャーをかける。

・・・プレッシャーがまずかったか、またその後停滞。
「休憩!」の合図。一時間たってここで30分の中休みが入った。あっという間。
参加者にはサラミをはさんだパニーニとビール(朝の9時)配給。
左が同僚のヴァルター君、2匹釣ったらしい。右が夫、一匹。まあ後半戦に期待するか。
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私たちが釣りをしている間、湖の横に大きなテントが張られたりなんだか賑やか。お昼になると村人がここに集まってお昼を食べるので、その準備が始まったのだ。
厨房を覗きにいくと、大きな大きな釜で、山男たちがポレンタを作っていた。豪快だ。
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こちらは牛のあばら肉コーナー。すんご~くいい匂い。魚は期待できなさそうだし(ごめんよ夫・・)今日のお昼はこれにしよう。油がギンギン滴り落ちている。ああ、たまらない。
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子どもが主催するクジ引きコーナーが開店した。当たると何かもらえるらしい。
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クジ一回1ユーロ。4クジ購入。クジは数字の書いた小さな紙が丸めてあって、それを小さなマカロニの穴に通していた。イタリアらしい。
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f0161652_9583196.jpg3つはずれ、ひとつ当たり!
銀皿をもらった。
お菓子入れにでもしようかな。











配給されたビールで気持ちよく盛り上がっていると、第3ラウンドの開始合図が!
はっと気づくと他のメンバーはもう移動済み、餌つけて待機してる。あばら肉に釘付けになってる場合じゃなかった!

・・・・カメラを構えて、夫のカッコいい瞬間を写真に収めてブログで公開してあげよう、とこっちもがんばっているのに(ていうのはちょっとウソ)そんな気配なし。それに昨日は、「愛にも釣らしてあげるよ」って言ってくれてたのに全然無視されてる。つまんない。
なので、ちょっとそこらを散歩に行った。

谷の下には、木材を使用する工場が多く、夫の勤めるオルガン工房もこの一角にある。
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f0161652_9594362.jpgこんな牛のマーク見ても、もう別になんにも感じなくなった。慣れって恐ろしい。

f0161652_1005592.jpgあんたたちいいわね~のんびりごろごろできて。~なんて話しかけながら、私の生活もあんまり変わりなかったりして、と思ったりして。
将来は老人ホームよりも牛舎にいれてもらおう。

f0161652_1012110.jpg牛は鼻まで牛柄だって、今日知った。
f0161652_1024088.jpg赤く揺れるチューリップの延長上、屋根の下にネコ発見。30分後にも同じ場所にいた。キミも暇ニャのね。
f0161652_1032611.jpgヤギコーナー。
牛舎じゃなくてこっちでもいいな、老後。

日当たり良好。










ヤギと「入居者募集要項欲しいんですけど。」、「読む前に食べちゃうから~♪」、「仕方がないからお返事書いた~♪」なんて会話してると(そんな歌がありましたね・・・)、なんと、向こうから楽隊がやってくるではないか!
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すると、「愛、こんなところでヤギと何してるの?」の声。
しまった。ヤギ語が話せるところを見られてしまった。
声の主は夫の工房の社長だった。名前はアンドレア。実は彼、オルガンを作る傍ら、トランペットを吹くのだ。今日はお祭りなので、こうして家々を渡り歩きながら演奏しているんだとか。しばしくっついて行ってみることに。
気持ちカメラ目線のこのトランペット奏者が、アンドレア。皆さんの帽子がステキ。
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演奏曲はまさに山の音楽、チロリアン風。ヨーデルでも習って共演しようかな・・。
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楽しく聴き入って、すっかり夫の存在を忘れていた。今頃、魚をいれる袋がちぎれて困っているに違いない。急いで戻ってみると丁度終わったところだった。しまった。
参加者24名が各々の袋を量りにかけている。
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結果、夫3匹、同僚4匹。最後の最後で急に釣れだしたらしい!2時間は短すぎたとか言いつつも満足そう。初体験の同僚ヴァルターもこれで釣りにハマりそう。

魚を狙うネコ、ネコを狙う犬。
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そして、待ちに待った結果発表!魚の重さ&数量で計算するらしい。
一位は夫の横でずっと調子ノリノリだった兄ちゃん。11匹!夫が一匹釣っている間に4匹釣っている計算。すごすぎ。景品はお菓子やパスタ、ワインなどの詰め合わせ。2位、3位とも表彰された。夫と同僚は憧れのまなざしで見つめてる。
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しかし!なんとその後4位、5位・・・とどんどん表彰が続く!
ややっ!私たちもひょっとしてひょっとしたらっ?!?

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・・・・・・・
番号がどんどんどんどんどんどん下がって、
同僚ヴァルター19位!サラミをゲット。

f0161652_108558.jpg続いて夫20位!
(よかったね、ビリじゃなくて) 
トレンティーノ州の白ワインゲット。一位の人より嬉しそうな笑顔だよ。ちょっと無理やりっぽいけど。





そんなことしている間に、お昼の用意ができたようだ。さっきのあばら肉定食を取りに行く。いつの間にか人が大勢集まってきていて、長蛇の列!
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すでに残り少なくなっていたあばら肉をゲットし、テントの中へ。
すごい人でごった返していた。
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本日の昼食。あばら肉2切れ、ポレンタ、チーズ一切れ、キャベツの酢漬け+ドリンクで
計10ユーロなり。
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そして、あんなにお昼を食べたけど、やっぱり釣りたてのお魚食べたいよね、ってことで、夜、我が家に再集合。夫と同僚のお魚計7匹。内5匹を料理。
マスの塩釜焼き、マスの香草焼き&戦勝品白ワイン蒸し、マスとイタリアンパセリのリゾットを、トマトのオーブン焼きと共に。めちゃくちゃ美味しかった。
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今日はマスに一日中遊んでもらった。また遊んでもらいマス。お魚ギョッとしてる??


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# by organvita | 2008-05-12 10:39 | ドロミテの景色 | Comments(6)

オルガンのれんしゅう

今週になって急に温かくなり、タンポポが満開!
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タンポポ、山桜、雪山の三重唱。
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以前から気になっていた、なんとなく独特の雰囲気が宿る、あこがれのお家。
どんな人が住んでいるんだろう。こんなところに住めたらいいなーーー・・・。
どこまでも庭が続いているかのよう。
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f0161652_716476.jpg・・・なんて、いつも夢みながら通り過ぎていたこのお家。
・・が!なんと!
今日見たら売りに出ているではないかっっ!!
売りにでなきゃ買えない!
ってことは、今まさに買い時?!



・・・と数分夢見て写真にまで収めちゃったものの、ああ、はかない。

夢は夢、現実は現実。
こんなに暖かくていい気持ちなのに、
このタンポポの上でごろっとしたら最高だろうなーと思うのに、
先のことを考えるとどうしても怖くて、れんしゅうにいかなければならず。ああ、はがゆい。

ということで、やってきたのが、いつも練習に使わせてもらっている小さな教会。
おらが村から車でちょっと。同じ谷の村にある。教会の前はちょっとした公園になっていて、村人の憩いの場、午後はこどもが集まってくる。
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教会の中に入るとひんやり。夏でもセーター持参で練習している。
幸い田舎の教会なので、他に練習に来る人もほとんどいず、ミサの時を覗けばいつでも快く貸してくれるので、とてもありがたい。しかも無料です。
こういうところ、ヨーロッパって寛大でいいなと思う。
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なので、せめてお礼に、練習に来たらこのマリアさまの足元のろうそくに火をつけている。
ろうそくひとつ10セント。16円・・。今日はブログ用にふたつサービス。でも小銭忘れた。ああ、ごめんなさい。
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     このオルガンは夫が勤めるオルガン工房が2000年に制作したもの。
            2段鍵盤+ペダル、14ストップ&カプラー。
    小ぶりだが、この規模の教会に丁度よい大きさ。残響の気持ちよい教会。
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           木の模様のデザインは、いつも社長の奥さまが。
            それをこの谷の木彫り職人が掘り出していく。
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鍵盤はとても繊細。一人で練習していても、実はこの楽器が、良い弾き方しているか、
そうでないか、色々と教えてくれるのだ。先生、今日もキビシく容赦なし・・・。
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                これからもお世話になります。


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# by organvita | 2008-05-09 08:25 | 見た弾いたオルガン | Comments(10)

似顔絵

ブログを初めて間もないものの、思いもかけず沢山の方々に読んでいただいていますこと、とても嬉しく思っております。ガイコクのド田舎生活の活力になれば、と始めたブログですが、少しずつでも更新しながら、みなさまに応援いただけたら嬉しいです。
コメントを下さった方々、個人的にメールを下さった皆さま、ありがとうございます!
さて、そんな中で、多くの方から、「似顔絵」についてご質問いただきましたので(!)、
この場を借りてご紹介させていただくと、これはボルツァーノに住む似顔絵書きを趣味としているイタリア人の知人がプレゼントしてくれたものです。水彩画です。
実は夫の分もあって(笑)、この二枚は今、家の電子練習オルガンの上に飾っています。
私たちのナマ顔を知る方々、いかがでしょう?結構特徴つかんでいると思うのですが!

見所1:私のデコ(出てる)
見所2:私の鼻(引っ込んでる)
見所3:夫、靴はいてない(靴下きたない)
見所4:夫の無精ヒゲ(剃ってよ、もう・・)

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# by organvita | 2008-05-09 07:10 | その他 | Comments(4)

ドロミテ横断のシゴトその3  コルティーナのオルガン

コンサート当日、なんとなく落ち着かなくて午前中に教会を覗きにいくと、外にすごい人だかり。ブラスバンドの響きが石造りの町中にこだましている。お祭りだ!
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中に割り入ってみると、山の民族衣装を着たブラスバンドが賑やかに演奏中。そして白い天使たち!周りを取り囲む人たちも何気におしゃれに着飾っている。そう、今日はこの町のプリマ・コムニオーネ(Prima Comunione)の日。カトリックのお祝いで、7~8才の子どもが初めてミサで聖餐式に与るのだ。この後みんな教会内に移動しミサに参列する。子どもの成長を親戚揃って神の前で祝うということだから、日本で言えば七五三みたいなもの。宗教が変わっても、人間が根本的に持つ気持ちや祈りは全世界共通だ。
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f0161652_18334171.jpg美しい民族衣装に身をまとって演奏する町の楽団員たち。アニメソングもあり。

f0161652_18343492.jpg全然聴かずにおしゃべりに夢中な天使たち。
どの国の天使も同じか・・。

親たちも我が天使の写真撮影に余念がない。
どの国の親も同じか・・・。
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美しかったので、写真を撮らせていただいた。はにかんだ娘さんかわいい。「コピー商品は作らないでね」と辛口のママ。私は中国人ではありません。
ミサが終わるのを待っている間に昼食を済まし、教会へ。サン・フィリップ&ジャコモ教会。
やっと私たちの練習時間。教会内はピンクで統一された美しいバロックスタイル。
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恒例、オルガニストの階段。洞窟みたい。オルガンへの道のりは細く、暗い・・・?
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上に上るとかなり広いバルコニーが。その真ん中に演奏台。この楽器はかなり大型。
54ストップ、3段鍵盤&ペダル。パイプ総数約3000本。南チロルの工房マウラヒャー社(Mauracher)1954年制作。A.ゼーニ(Andrea Zeni)2002年修復。
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演奏台から見た教会内部はこんな感じ。背中側にパイプケースが鎮座。前回のオルガンと見比べていただくだけでもわかるかと思うが、本当に一台一台の仕組みや音色が違うので、夜の演奏会に向けて、早速このオルガンの持っている「素材」を試しながら、演奏する曲の音作りをしていく。このシンフォニックなオルガンのために私たちが用意した曲は、ドイツとイタリアのロマン派の作品、そしてA.へッセのオルガン連弾作品。
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ブログを始めてからいつもに増して写真を取る回数が増えてる私をみて半ば呆れている夫が、「これブログに載せたら?」と私を呼んだ。なんと、このオルガンにはイキな名前のストップが!私「はい、写真撮るからどいて~」。全く練習になってない。
ストップ番号(上の数字)4番:Flauto del bosco(森のフルート)
               23番:Flauto delle Dolomiti(ドロミテのフルート)
どちらも素朴で柔らかい響きがした。
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演奏台左側には電話つきテレビ?練習に疲れたらこの電話で出前とか頼むと(できればピザより盛りそばがいいな)ここまで持ってきてくれて、テレビで連ドラ見ながら、CMの間にまたちょこっと練習でもしとくか、なんてことは残念ながらありえない。ほんと残念。
このテレビには、ミサ時の遠い祭壇での様子が映し出され、オルガニストはこれで弾くタイミングをチェックしながら演奏しているのだ。オーケストラとの演奏のときに指揮者を映すこともある。電話は祭壇脇の部屋と繋がった内線電話で、教会が広くて一々往復できないので、この電話でミサの諸事項を神父と連絡し合う。今日の賛美歌の番号は?とか。
右側にある黒い計算機のようなものは、ここに賛美歌番号を入力して送信すると、教会内の電光掲示板に映し出される仕組み。この操作を間違えると誰も歌ってくれない・・・。
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バルコニーで聴こえる音やバランスと、教会やホール内で聴こえるそれとは、全く違うことが多い。オルガンは建物あっての楽器で、その残響もすべて含めて音作り&音楽作りをしていく。バルコニーで気持ちよく弾いてても下では大変なことになっていた?!なんてこともあり得るから、今回も夫と私はあの細い階段を十何往復もしながら、一人が上で弾き、もう一人が下から「バランス悪い」とか「もっと高音部増やせない?」とか「そのメロディの音イマイチ。他のストップないの?」とか「もっとはっきり弾かないと残響でなんだかわからん」とかなんとか言い合う。今回は相手が身内だから、言い過ぎたりして険悪なモードになりかけたりした(?!)が、その曲の背景、オルガニストの趣味や癖を察知して相応しい助言をすることは、音作りの際のアシスタントの役割として大変重要。なので大抵、アシスタントはやはり同じオルガニストか、オルガンのことをよくわかっている人に頼むことになる。譜めくりだって、それだけではなく、微妙なタイミングでストップを追加してもらったり減らしてもらったり、沢山の鍵盤とペダルの演奏で対応しきれないオルガニストの片腕となって働いてもらうのだ。
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そんなことをやっているとあっという間に4時間経過。ぶっ続け。小さい脳みそが「もう限界」と指令してくる。でも音作りをなんでもかんでも終わらせないとコンサート弾けない。「時間足りませんでした」とは言えない。そんなんで、どうにかすべての音色の組み合わせを決めると、それを今度はコンピューターに一々記憶させていき(コンピューターがすべてのオルガンについている訳ではないので、その場合はもっと複雑)、それを自分の楽譜にも「この小節からこの番号の音色」という風にメモっていく。私は「Post It」派だが、オルガニストによってメモの仕方は三者三様。弾く鍵盤の場所も同時に記す。そしてここから初めて文字通りの「練習」開始。まだ数時間しか知り合っていないこの楽器の魅力を最大限に引き出せるよう、少しでも慣れるように弾き込んでいく。

いつも当たり前のこととしてやっているが、改めてこうやって書き出していくと、オルガニストって本当にすごい地味な作業をコツコツやってたんですね~。
世界中のオルガニストに乾杯!!
あ、乾杯はコンサートのあとで。
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そしてやっとコンサート。私たちの他に、この地域を拠点として活躍するアカペラ合唱団と金管アンサンブルの演奏もあった。無名のグループだがかなり上手。残念ながら雨が降り始めた夜9時からのコンサートにはお客さんまばら。それでもヴァリエーションに富んだ素敵なコンサートだった。私たちも久しぶりにシンフォニックな大型の楽器を気持ちよく弾けて大満足!
その後簡単なパーティーが用意されており、夫は早速気持ちよくワイン飲んでる。私が帰り運転するってことらしい。コルティーナ出発夜11時、恒例イタリアの道表示の悪さに町中を3周迂回させられ(!!)一時間経過。やっと町から脱出、雨と霧で見通しの悪い山道をゆっくりゆっくりと車を走らせる。対向車なし。夫は気持ちよく横で獏睡中。その間、野生のシカ2匹と野うさぎに遭遇。

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# by organvita | 2008-05-06 19:00 | 見た弾いたオルガン | Comments(4)

ドロミテ横断のシゴトその2  サン・ヴィートのオルガン

コンサートのある教会では当日午後しか練習時間がもらえないということで、一日前のこの日、以前から行ってみたかった近郊のオルガンを見学に行った。場所はサン・ヴィート・ディ・カドーレ(S.Vito di Cadore)。コルティーナ・ダンペッゾ(Cornita d'Ampezzo)から南に車で15分程。山に囲まれた風光明媚な村。早速お目当ての教会へ。
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写真ではあまり出ていないが、水色とベージュでまとめられた落ち着きある内部。高窓から差し込む光の元では、入れ替わり立ち代りやってくる村人が絶えず祈りを捧げていた。
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そして、祭壇の反対側、教会の後部バルコニーの上には、エレガントなイタリア様式の箱に納められた1800年代のオルガンが、私たちを静かに待っていてくれた。
オルガン:G.バッツァーニ&息子、1848制作(Giacomo Bazzani e Figli)
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早速バルコニーに上がってみることに。ちなみに、ヨーロッパの教会のオルガンは、このようにバルコニーにドンと鎮座していることが多いが、そこへ登っていくオルガニストのための階段は狭い。得てして大食い・大酒飲みのオルガニストの私たちは要注意(もちろん上品な方もいらっしゃいます、念のため)。演奏前に食べ過ぎて太っちゃったオルガニスト(そんなことありえないか・・)、演奏前に飲みすぎてすでにフラついちゃってるオルガニスト(これはありえる・・・)にとって、この階段はかなりキビシイのだ。(ほんとかなー?)
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階段の途中にはこのように扉がついていて、誰でも登ってこれないように管理していることも。大切な楽器、芸術品ですから。今回は神父さんに頼んで鍵を開けていただいた。
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無事に(?)バルコニーに上ると、そこには下から見上げるよりはるかに大きなオルガンと(カメラに収め切れません)その演奏台が。これは典型的な18~19世紀のイタリア・オルガンの演奏台。こういうものはこういうところに来なければお目にかかれないので貴重な体験。どういう仕組みになっているのか、どうやって演奏するのか、まずは早速鍵盤とその付近を音を出しながら色々探ってみる。
パイプオルガンは一台一台がすべて一点ものの手作り。「世界規格」「大量生産」なんて基本的にはないのだ。ましてこのような歴史楽器となると、お国柄や地方色がその楽器制作技法や音色に顕著に表れる。その楽器が置かれるところが望むものを、その土地の職人が作り上げていったからで、まさにオルガンって文化だなと感じる。ある意味、民族楽器であるとも言えるのでは?そして、その楽器のための作品がそこから生まれていくのだ。
楽器あっての作品、作品あっての楽器。
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この先、ちょっとオタクな内容になります・・・。
イタリアのオルガンは鍵盤数が少なく、1~2段が普通。このオルガンも一段だけなので、大型オルガンを見慣れた現代の私たちには物足りないように感じるかもしれないが、実はこの種の鍵盤は、高音部と低音部で音色を分けることができる。そのため鍵盤右側に並ぶストップも(=音栓。イタリアのは引っ張るタイプではなく、これを左右に移動させて操作する)、例えば、Principale soprani(プリンシパル高音部)、Principale bassi(プリンシパル低音部)という風に、ひとつの音色に対して二つのストップを持っている。「普通」なら、例えばメロディーと伴奏を違う音色で弾き分けたいときには、右手と左手をそれぞれ、違う音色を仕込んだ鍵盤で演奏するが(=2段の鍵盤が必要)、このタイプの楽器ではそれが一段だけで出来ちゃう、ということ。
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長くなるので、割愛しながら他の「オプション」を説明すると、鍵盤すぐ上にカンパネッラ(Campanella)のストップ。足鍵盤高音部のこの「Mi」の音は鳴りません。これはテルツァ・マーノ(=「3つ目の手」という意。手鍵盤ソプラノ部分を一オクターブ高音同時に鳴らせるようになる)のスイッチとして機能。「Fa」はロッランテ(=高さを認識できないくらい低いパイプが数本一度に鳴る。大太鼓をずっと鳴らしている感じ)。「Fa」の上の棒はグランカッサ(Grancassa)、その右のはティラトゥッティ(Tiratutti。=これを踏み込むと全てのストップが一度に引き出せる)、そして一番右のがロンバルディア式自由コンビネーション(combinazione libera “alla lombarda”=予めストップを仕込んでおいた後でこのノブを踏み込むと、 そのストップがまとめて引き出せる)。

f0161652_981953.jpg譜面台の上に陳列するカンパネッラたち。打楽器のチェレスタをここにはめ込んでいる。鍵盤弾くとチンチンと頭上で鳴ってかわいい。これと同じものが横浜のみなとみらいホールのオルガンにも付けられているので、一度聴かれてみては?

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グランカッサ(Grancassa)の正体。足元のグランカッサのノブを思いっきり踏み込むと(かなり力が必要)、オルガンの中に隠れている太鼓&シンバル&シストラムの打楽器がいっぺんにガシャジャジャーン~!と鳴る。そりゃ賑やか。












なぜこのオルガンの見学に来たかって?それはもちろん、これらの「オプション」で遊んでみたかったから!「ふざけた楽器」なんて言わないでください。これぞイタリア文化なのです(笑)。イタリアはオペラの国。オペラのオーケストラをオルガンにも求めた結果。
オペラチックなイタリア・オルガン作品を持参して、「オプション」を即興で付け足しながら、賑やかで楽しい一時を過ごした。下で静かに祈っている村人には申し訳ないけど、どうやら彼らも慣れている様子。見た目はエレガントな雰囲気のこのオルガンの、素顔を見た気がした。


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# by organvita | 2008-05-06 09:52 | 見た弾いたオルガン | Comments(3)