プレガンツィオール Preganziol のオルガン

日曜日、夫の実家の近く、トレヴィゾ郊外のプレガンツィオールという町の教会で、
連弾&ソロ・コンサートを弾いてきた。
実家から通える距離なのだが、「ヴィラに宿泊を用意してあるよ」という主催者さんの一声に負けて、わざわざ一泊してみた。というのも、この「ヴィラ」というのは、この辺りのヴェネト平野に多くく点在している、いわばお屋敷のこと。その昔、ヴェネツィアの繁栄で一財産築いた貴族らが、陸地にこぞって建てたもの。今でも、ヴェネト平野をドライヴすると、
素敵な門構えのお屋敷、そしてそのお庭を垣間見ることができるのだ。
それらは今は個人宅、または博物館やホテルなどとして使われている。
そんなところに泊まらせてもらえるなら、お世話にならない理由はないっ!

こちらが今回お世話になったヴィラ。入り口でドアホンを鳴らしたら、門が自動で開いた。
そこから一々感動してる夫婦。極めて単純なり。
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このヴィラは、このオルガンフェスティバルのスポンサーでもある、地元銀行の持ち物。
なんでも社長が大の音楽好きだとかで、この建物を利用して、音楽講習会やリハーサルの場として提供したり、町に演奏に来た音楽家を滞在させているんだとか。確かに、中に入ると、ピアノやチェンバロの置いてある部屋、壁には音楽関係の絵画などが飾られていた。楽譜図書館もあり。
門番さんによると、この日、偶然にも某有名指揮者が滞在している、ということで、サイン
もらう準備バッチリのバカ夫婦だったが、残念ながらすれ違うことはなかった・・。
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庭には噴水が。
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朝食ルームの壁。
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ちなみに、このヴィラに住み込みで働いていたのは、フィリピン人家族でした。

さて、こちらが弾かせていただいた、サン・トロヴァーゾ San Trovaso 教会。
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教会の外壁に小さく付けられた扉を開けると、オルガンへの階段が。
階段・・ハシゴが建て掛けてあるだけ。写真ではきれいに写っちゃってるけど、
それはそれは、暗がりの、埃塗れの、くもの巣の絡んだ、足場の悪い階段であった・・。
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埃&くもの巣に塗れながらやっとバルコニーにたどり着くと、そこも埃いっぱい・・。
物を置けるような場所なし・・。何年も掃除してないんだろうな・・。
しかし、そこに鎮座するオルガンは、1843年からの素晴らしい活き活きとした響きを聴かせてくれた!埃なんてなんのその。早速楽しく音決め&練習開始。
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オルガンは、この辺りヴェネト州を中心に活躍したオルガンビルダー、バッツァーニ工房
(JACOBI ET FILIORUM BAZZANI)、1843年制作。
18ストップ、一段鍵盤+ペダル。+Terza mano、+Tamburo
修復:F.ザニン F.Zanin
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こちらが演奏台。典型的なイタリアンスタイル。1800年代半ばでも、まだこの形。
でも鳴り響く音色は豪快。スカーンと男性的な気持ちよい鳴り。しかしフルートは温かい。すぐに親しみの湧いた楽器だった。鍵盤のタッチもとても気持ちいい。
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オルガンのふいご。今は電動で動く。
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弾いた曲は、ドイツ、イタリアのバロック、古典期のオルガン連弾作品、それに私はモランディという人の、オーケストラの楽器を模倣した変奏曲などを。ストップ数は決して多くはない楽器だけれど、個々のストップの音色が非常に個性豊かで、しかもどの組み合わせでもすっきりマッチするので、音作りが非常に楽しかった。
唯一のリード管、元気なトロンボンチーニ Tromboncini も混ぜ合わせて、小雨の降る肌寒い天気の中やってきてくれた沢山のお客さんと、賑やかで楽しい午後の一時を奏でたのであった。
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ちなみに、今回弾かせていただいた「オルガンフェスティバル・トレヴィゾ」は今年で20周年を迎えるそうだ。出発は、ある一台のオルガンでコンサートを定期的にするようになったことだとか。そこから大きく発展、今では、トレヴィゾ市や郊外に多く残る歴史楽器などをフルに使った、大規模なフェスティバルになっている。今回の私のように、まだ尻の青々い若造に勉強の機会を与えてくれると同時に、名立たる巨匠たちも弾きにきているのだが、沢山のオルガニストと交わった主催者さんと色々話していた時に聞いたこと、
「巨匠ほどシンプル」。
ぶつぶつ注文したり神経質だったりしないそうな。すらっとやってきて、ちょっと練習して、レジストなんかも一々楽譜に書き込んだりせずに、全部頭で把握してるんだと。
そして本番でものすごい演奏を聴かせてくれたかと思うと、子どものように笑いながらワイン飲んで帰るんだとか。
カッコイイ。
私のように、演奏もさることながら、くもの巣が張っててキタナイとか、埃を吸い込んで咽るから次回はマスク持参しようとか、一々思ったりしないんだろうな・・。
ああ、凡人、今日も色々学んだのであった。
人生勉強。音楽を磨くためには、自分自身を磨かなくちゃね。
とりあえず、歯磨いて寝よ・・。


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by organvita | 2008-09-23 10:07 | 見た弾いたオルガン | Comments(0)
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