ドイツ・ハレ、マルクト教会

G.F.ヘンデルの生まれ故郷、ハレのマルクト教会で、オルガンコンサートを弾いてきた。
これがその教会。マルクト(=市場)教会というだけあって、広場に面した町一番の教会。
広場の真ん中にはヘンデル像が。
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この教会にはその昔、亡くなったばかりのM.ルターの亡骸が、故郷に戻される途中に停泊したという歴史もあり、ルターのデスマスクも見ることができる。
クラナッハの絵画でみる顔よりももっと肉厚の、典型的な「ドイツ人顔」って感じだった。

f0161652_2175491.jpg歴代有名人もオルガニストを勤めた。
S.シャイト、
F.W.ツァッホウ(ヘンデルの教師)、
W.F.バッハ(J.S.バッハの息子)
などなど。
賑やかな町中から一歩、教会の中へ。ひやっと涼しい、心落ち着く別世界。
素晴らしいバロックのケースに収められたオルガンが、教会後方のバルコニーを満たしていた。圧巻!
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下から見上げたところ。ものすごく大きいのにとても上品でもある。色々な大きさの窓に美しく配分されたパイプたち。一番上では等身大の天使たちが楽器を奏でている。
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f0161652_21315379.jpg演奏台。
このオルガンは、昨年新たに整音が与えられ、新しい演奏台を取り付けられたばかり。(W.Sauer,
Frankfurt Oder)
実は私、3年前にもここで演奏させていただいたのだが、前回とはベツモノのオルガンになっていた!低音が更に充実して、柔らかいロマンティックな響き。演奏台もきれいになって、扱いやすかった。










ところで、よく聞かれるのだが、ケースはバロック建築なので、下から一目見て「これはバロックのオルガン」と思いがちだが、中々そう行かないところがオルガンの面白いところ。
たとえば、このオルガンの歴史を辿ると、1713~16年の間に一番初めのオルガンが、
このケースと共に建てられたのだが(C.Cuntius クンティウス・オルガン)、
その後、時代が進むと共に、それぞれの時代の趣味に合わせた音色や機能の改造がされたり、修理&修復を繰り返していく上で、オリジナルのものは変形されたり取り外されて、新しいものが組み込まれていった。しかしヨーロッパでは、「まだ使えるもの、良いものはそのまま受け継ぐ」という姿勢なので、こうやってオルガンケースや一部のパイプは18世紀や19世紀のものが、多少手直しされつつも受け継がれている。
一台の楽器の中に、いろんな時代がパッチワークされていることがあるのだ。
だから、バロックのケースから響いてくるのは、バロックの響きとは限らない。
日本にあるのは新しいオルガンばかりなので、そんな経験もできず、留学したての頃、
どうしてバロック・ケースのオルガンから、きれいなクレッシェンドのかかった(スウェルという強弱機能を使う。ロマン派時代に始めて現れる)ロマンティックな響きが流れてくるのか、しばらく不思議だったものだ。

教会の入り口に張られたコンサートの案内。
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この教会にはもうひとつ有名な話が残っている。
バッハがまだヴァイマールにいた頃、この教会のオルガニストの席が空いて、教会はバッハに後任への招待状を送っている。しかし、それを知ったヴァイマール伯がバッハを引き止めておくためにお給料を値上げしたため、バッハは結局ここへ転職することはなかったとか。その後悔からか、バッハへの未練&憧れか、新しいオルガンが1716年に完成したとき、J.S.バッハに再び、試奏&お披露目演奏会を頼んでいるのだ!
今でもハレの人たちの間で、「あの時、待遇をもっと弾んでおけば町の歴史も変わっただろうに」というのがイタいジョークになってるとか(笑)。
そういえば、リューベックにもあったなあ、そんなイタいジョーク。
「ブクステフーデの娘がもっと若くて美人だったら・・・」っていうやつ(笑)。

この、いろんな意味で話題の多い、歴史ある教会のオルガニストを現在勤めるのは、
フランス人のイレネー・ペロー Irenee Peyrot。
ドイツの同じ大学&クラスでずっと一緒に勉強した同僚&親友。
フランス人らしくない(?)根っからのM.レーガー大ファンで、ドイツコテコテロマン派の作品を追求している人。「レーガーの日記」が彼の枕!留学時代、毎日音楽について語ったり、酒の飲み方を教え込まれたりしたものだったなあ。
そんな若かった私たちも、もういい年・・。私がイタリアに嫁いで呑気にパスタを茹でたりなんかしている間に、彼は大出世を果たし、晴れてこの教会の教会音楽家として活躍し始めた。それもそのはず、彼は大の努力家。毎日朝6、7時から練習してます。
私一回もしたことない・・。朝苦手・・。
そんなご縁で呼んでいただいた今回のコンサート、夫を連れて、イタリアの4手4足連弾作品を弾いてきた。普通ドイツ人はこういうレパートリー弾かないので、新鮮だったようで、お年寄りにもウケたみたい(笑)。
オペラ調の曲を一時間ご披露した後、そのままのノリで、なんだか無性~にピザが食べたくなって、ドイツど真ん中の町の、ど真ん中の広場の、ヘンデルの銅像の真下で、
「リアルト橋」(=ヴェネツィアにある橋)という名の、イタリア人が経営する、
ナンチャッテイタリアンレストランで打ち上げ。左がイレネー。
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あーやっぱりドイツはビールだー。ぷはー。
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食べたのは「ピザ・ヘンデル」(一番下)。無理やりにも程があるなあ(笑)。ま、いいのか、誰かが面白がって注文して商売になるなら。私がつい注文しちゃったみたいに。
ピザ・ドン・ジョヴァンニ、ピザ・ロッシーニにも注目。
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しつこい追加になりますが、
この教会にはもう一台、これは1663-1664年のオリジナルの、小さな、しかし素晴らしい楽器がある。少年ヘンデルは、ここでオルガンレッスンを受けたはずだとか。
祭壇正面の上部に備え付けられた小さなこのオルガンは、しかしすごいパワーを持っていて、ストップ一本だけでも十分に教会中に美しい響きが満ちる。ドイツだなあ~。
この近辺にオルガン見学に行かれるオルガン・ファンの方、是非このライヒェル・オルガンGeorg Reichel もお見逃しなく!毎週2-3回、お昼にミニコンサートしています。
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演奏台は壁に挟まれて非常に狭く、夫も精一杯。
鍵盤にお腹が乗りそう。















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by organvita | 2008-07-28 23:41 | 見た弾いたオルガン | Comments(6)
Commented by ちさと at 2008-07-29 09:04 x
偉大な作曲家達が過ごしたところで演奏したりするのって言葉にできないものがあるね。私も二人の連弾ききたいな!

そのピザ笑えるけどすごく興味ある。。。。。
Commented by organvita at 2008-07-29 22:10
偉大な作曲家たちが過ごしたところに、日本人がひょんとやってきて弾けるなんて、ありがたい時代に生まれたなあと思ったよ。
ピザ笑えるでしょ~?!中身はなんてことない、トマト、ルコラ、ツナだったけど。
Commented by Madoka at 2008-07-29 23:13 x
オー!!イレネーッ!。。って全然ポイントずれたところで反応してゴメン。最後のアレちゃんの写真の下の「鍵盤にお腹がのりそう」ってところに、フレディ大笑い。笑っている場合ではないと思うけれど。。あなたもそのお腹。。
Commented by masako at 2008-07-31 20:21 x
私達の共通の師匠のご登場はなかったけれど、イレネーなつかしい〜由緒あるりっぱな教会のオルガニストとして活躍されてるんですね〜あの頃より貫禄あるなあ…(笑)
Commented by organvita at 2008-08-05 00:33
Madoka!フレディはアコーディオンだから、楽器がもっと接近してて切実だね?!ちなみに、私の胸が鍵盤にのっちゃう心配は無用だった・・・。
Commented by organvita at 2008-08-05 00:34
masakoちゃん、イレネーを見つけてくれて嬉しいよー!でしょ~?!貫禄出ちゃったよー!オデコも光ってた(笑)。
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