ヅオツのオルガン
2015年 03月 04日
スイス東端のエンガディン地方、
ヅオツZuozという村でコンサートを弾いてきました。
標高2000Mのこの谷には、スキーのゲレンデが方々に延びている。
雪山が眩しい、お天気の良い週末。
この村は、ルネサンス時代までこの谷の中心的存在だった。
教会に隣接したこの右側の建物は昔の牢獄(拷問所)。
天国と地獄が目と鼻の先。
暖かい椅子に座って食べれるホテルレストラン。
寒すぎて誰も座ってなかったけどね・・
この素敵な建物の上には、昔の村々の紋章がずらっと。
その中になんと、海老の天ぷら発見!
お昼に到着した教会の中には、
丁度太陽の光が差し込んで、ステンドグラスがきれい。
標高が高く寒い山の教会は、会同の片面しか窓が無い、
ちょっと珍しい造りのところが多い。
会同の後ろバルコニーにすっぽり鎮座しているオルガン。
オルガン:Metzler 1912年制作
2段鍵盤+ペダル 23ストップ
スイスは大雑把に言って、カトリック半分、改革派半分。
この教会には、実は20世紀に入って初めてオルガンが建てられた。
この楽器がその第一号。
宗教改革時代、オランダでルネサンス音楽の立役者だった作曲家
スウェーリンクが作曲した詩編歌を、弟子がこの地方までやってきて、
教えて説いたという。それらの5声部の詩編歌が、
今ではこんな田舎の教会の村人たちによって、ずっと歌い継がれていたらしい。
その楽譜のコピーが、この谷の図書館に保存されているとか。
こんなエピソードが聞けるのも、スイスならでは。
これが、本日のオルガンの演奏台。四旬節のコンサートだったので、
キリスト受難にちなんだブラームスや現代作品を中心にした、
しっとり目のプログラムを聴いていただきました。
受難にちなんだ曲は、短調のじわっとくるいい曲が多い。
イタリアと全然違って・・・
すべてがきっちりと、快適に暮らせるように配慮されているスイス。
オルガニストの椅子の周りにも、暖房器具が配備。ありがたや。
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