オルガン日本上陸! その2

おらが村から一足先に船で出発していた、もう一つのオルガンが、
私たちの飛行機での到着に合わせて、設置先の御宅に届きました。
こんなクレーン車でやってきた大きな木箱。

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高さ2mはあるこの大きな木箱は、このオルガンを運ぶために作ったもの。
中にぎっしりとパズルのように詰まっているオルガンの全てのパーツを、
順番に解体して家に運び入れていきます。

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設置場所を決めて、まずは外枠から組み立てていきます。
はじめに一階の、メカニックやふいご、鍵盤などが入る部分。

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それから二階の、パイプの部屋になる部分。
背の高いオルガンは、後ろの壁ともしっかりと固定します。

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一台一台がその場所にあわせた特注のパイプオルガンは、
天井の高さにもピッタリ合いました☆
風を起こすふいごを取り付け、送風管を繋げていって、
パイプが乗せられる穴まで風の通り道を作っていきます。
鍵盤や、様々な音色を選択できるストップと呼ばれるメカニックも繋げて、
音が鳴る状態になるまで数日かけてコツコツと組み立てていきます。

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中に並べられるのを待っているパイプたち。
これは木管のパイプ。

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こちらは金属のパイプ。

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手で弾かれる二段の鍵盤と、足で弾くペダルの裏側は、
こんなメカニックで繋がっています。
鍵盤のタッチも精密に調整していきます。

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オルガン正面の飾りを取り付けます。
唐草模様に、楽器を奏でる3人の天使が舞う、オリジナルの美しいデザインは、
このオルガンのための手作り。世界中にここにしかありません。

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さて、メカニック部分が完成したら、
次はパイプの音作りの作業。
パイプを並べて風を通しながら、
この楽器が置かれた空間の中で一番美しく響くように、
一本一本の発音の強さ、音質を調整しつつ、
全体とのバランスを構築していく、とても重要な作業。

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最後に正面のパイプを並べながら調整。
オルガンの全体像が完成した瞬間!

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「ドイツ・バロックのオルガン作品の練習に特に適切な楽器」との、
ご注文主様のご希望からスタートした楽器造り。
415Hzのバロック調律を施し、練習だけでなく、
古楽器とのハウスコンサートも出来るように配慮されています。
アンドレアの音作りは本当に丁寧で美しく、
この「小さな練習楽器」の箱の中ででも、
トリオ・スタイルでも、エコーでも、プレーノでも、
8ストップの音色がどの組み合わせでも実に良くバランスよく溶け合って、
素晴らしい楽器に仕上がりました。
繊細なタッチでよい練習ができそう。私も欲しい~っ!

これから、沢山弾きこまれていくことによって、
このオルガンの魅力が益々育っていくことでしょう!
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普段は演奏する側からの視点で見ているパイプオルガンですが、
制作側の人と密着(!)してお仕事を手伝っているうちに思ったこと:
いや~オルガンって本当に奥が深いっっ!!
一つ一つこうやって丁寧に真剣に作られていく楽器の個性や魅力を、
演奏を通して最大限に表現できるオルガニストになることが、
私の究極の目標でありたい、と改めて感じました。
・・・明日からまた練習だっ!


追伸:
製作中、私たちをいつも癒してくれたウメちゃん。
初日での至近距離が5mくらいあった超シャイな彼女は、
2週間の間に、手からハムを食べてくれるまでに成長?!
恋しいよ~ん☆
パイプが詰まった箱とポーズ。

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Commented by woodstove at 2014-12-03 07:07
愛さん こんにちは。パイプオルガンが組み立てられる様子は、驚きです。組み立てと分解が行えるとなれば、世界中に運べますね。(^^)
Commented by emilia2005 at 2014-12-04 04:17
このオルガンはひょっとすると
お目にかかったときに見せて頂いたものですよね。
あれが日本に上陸して、こうして組み立てられたなんて
感動です。
Commented by organvita at 2014-12-04 04:47
woodstoveさんへ。
何にもないゼロのところに少しずつ出来上がっていく姿をマジかで見るのは、初めてではないのですが毎回感動的です。世界中に建てられますよー!
Commented by organvita at 2014-12-04 04:49
emiliaさんへ。
そうです!!あのときに見て頂いた楽器です。
こんな姿に完成しました。楽器一つ一つにストーリーがあってそして今は音が鳴っています。すごいですよね!
Commented by giulio71 at 2014-12-04 07:39
ついに完成ですね!
古いオルガンも素敵ですが、こうした若く、明るい木の色のオルガンも本当に美しいですね。
どんな音がするのか想像するだけでわくわくします!
Commented by organvita at 2014-12-05 01:13
giulioさんへ。
オルガンって一つ一つ姿が違うので、容姿を見ているだけでも楽しいです。このオルガンもこれから何百年も鳴り響いて欲しいです!
by organvita | 2014-12-03 06:31 | オルガン工房 | Comments(6)

北イタリア・ドロミーティ渓谷で暮らすパイプオルガン弾き吉田愛のスローライフを綴っています。猫のバンブー♂も度々登場。


by organvita
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