シャウルスのオルガン Chaource

このコンサートの話が持ち上がるまで、シャウルスという町の名前も聞いたことなかったし、よって、それがどこにあるのか、全く知らなかった。
しかし、ここには、美味しい村特性のチーズがあり、白い牛が放牧されている壮大な牧草地があり、何種類に及ぶシャンパンが手に入り、それを自分の毎日の生活として誇りを持って楽しむ村人たちがいた。
そんな村人たちの、もう一つの宝が、きっとこれ。村の真ん中にある教会。
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中に入ると、そこはまるで美術館。
教会の後ろにあるオルガンは、1696年~1791年の間に製作、増築された、
フランス古典の美しい楽器で、村の、いや、フランスが誇る名器のひとつだろう。
オルガン:Louis Le Be(1696) /Jean Richard(1791) 2012修復予定
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漆喰で塗られた天井と、私を見下ろす十字架。
この天井から降ってくるかのような、220年前の音色。
「こうあって欲しい」と思う先入観以上の、最高に素晴らしいフランス古典の色彩が、教会にいる私たちだけのために語りかけてくる。ちょっとのことでは動じない、220歳のおじいさんが語る説得力のある物語に、泣けてきた。
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ジェロさんが色んな音色の組み合わせをデモンストレーション。ブラボー!!!
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次にオルガン演奏台にあがって、ジェロさんがこのオルガンの歴史や特徴などを説明してくれた。音を鳴らしてみる。220歳のおじいさんが「こうやって弾けばいいよ」と
寡黙に教えてくれる。まさに、百聞は一見にしかず!
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オルガンの中も見学。アレちゃんかぶりつき。国や時代や建築家が違うと、
当然オルガンの作り方も違ってくるのだ。
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オルガンの譜面台の横には、オリジナルの「レジストレーションの仕方」が書かれた跡が残っていた。どういうときにどういう音色の組み合わせで弾くとよいよ、というノウハウ本みたいなもの。
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シャウルスでの宴の合間に、この220歳じいさんとじっくり向き合い、音作りをして、そして本番。(飲んだくれていただけではない、ということを小さく主張しているつもり・・・)コンサートにはジェロさんの意向もあって、子供も大人も誰でも入ってこれる。
曲間で、ジェロさんがモニターを使いながら、作曲家や作品についてわかりやすく説明を入れてくれた。もちろん、演奏風景もモニターに映し出されていた。
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アレちゃん、ソロの曲を熱演中。
ちなみに、フランス古典独特のポチ・ペダルにご注目。
「アンコール曲の時には子供たちは演奏台に登ってきて間近で演奏を見ていいよ」企画があり、最後に子供に囲まれて楽しく演奏中、なんか聴き慣れない音が鳴ってる?と思ってふと見たら、3歳くらいの子供が足鍵盤をこっそりボーーーっと押していた(爆)。
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そんなこんなで、素晴らしい楽器との密な一時間のコンサートは、私たちにとって本当に貴重な体験でした。

さて、この教会には、オルガンの他にも貴重な美術品がてんこ盛り。
この美術品お目当てに遥々やってくる人もいるだろう。
こんな美しいステンドグラスや、
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動いているかのような活き活きとした彫刻。
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ピエタ像。
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中でも必見は、祭壇脇にある小さな個室に飾られた、こちらの作品。
この個室に入るには、2・3段階段を下がり、わざと低めに作られたアーチを、頭を下げてくぐらなければいけない構造になっている。そして見上げると、自分より一回り背の高い、身長2M程の聖人たちが、死せるキリストを囲んで嘆いていて、まさに自分も
そのうちの一人としてそこに立っているかのような錯覚に陥るように、設計されている。カメラの調子でずいぶん明るく撮れてしまっているが、本当はもっと薄暗い空間。
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左の人の後ろにある小さな窓からのみ、外からの淡い光が差し込むのだが、死せるキリストの顔にだけは、その光が当たらないように考えられている。
今にも動き出しそうな彫刻の人たち。
なんともいえない空間で、シャウルス滞在中、3回この個室を訪れた。
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by organvita | 2012-09-11 07:27 | 見た弾いたオルガン | Comments(2)
Commented by sakanatowani at 2012-09-11 16:48
こんにちは!
「愛さんたち、今年はフランスでも演奏会なんだ。すごいな〜」と思っていたら、こんなに↓おいしい旅行だったんですね♪
教会の外観、フランスだ〜!
北ドイツの超とんがり屋根の鐘楼のついた教会を見てきたから、よけいそう感じるのかな。
教会内も真っ白だし(イタリアのアフレスコにあふれた教会を見慣れてる目には新鮮!)
譜面台横の覚え書き。オルガンって、代々のオルガニストも一緒に作り上げていく部分もあるんですね。おもしろいなあ。
愛さんがとても惹かれたという教会内の個室。教会装飾を知れば知るほど、昔の人のその演出力に驚かされますね。
いつかフランスにも行ってみたいなあ。
Commented by organvita at 2012-09-12 07:19
sakanatowaniさんへ。
ほんと、ちょっと国境を越えるだけなのに、全然違いますよね!フランス色が濃いでしょ~☆北ドイツのとんがり屋根(デュッセルドルフだったんですね!いいところ!)といい、この白いフランスの教会やステンドグラスといい、ヨーロッパって面白いですよね。それに昔の人の演出力、すごいですよね、ほんとに。waniさんが見たらきっと私よりももっともっと発見するところが多いんだろうなあ~!!
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