いわて文化支援ネットワーク
2011年 07月 14日
数年前に住んでいた盛岡で、何度か共演もさせていただいた音楽家の知人が、
「いわて文化支援ネットワーク」を立ち上げ、奮闘していらっしゃいます。
以下のようなお手紙をいただきましたので、
勝手ながら、どうかご紹介させてください。
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「さて、今回の震災では、実家の前まで津波が来て、同級生や知人を失い、親戚も
被災して家や店を流され、生徒も家を流されたり、親が未だに見つからなかったり・・・・と
厳しい現実があります。
そんな中で、私が取り組んでいる「いわて文化支援ネットワーク」は、芸術による復興支援です。避難所への押し売りの演奏慰問ではなく、被災者のニーズに合わせた支援と心のケアを中心に行っています。活動内容の詳細はホームページをご覧下さい。
また、楽器支援では、全く放置されている個人の楽器に焦点を当てて支援しています。
公共施設関係はロータリークラブなどが支援して楽器が行き渡りつつありますが、
個人の楽器については全くめどが立っておりません。
宮古周辺の弦楽器はほぼ充足しましたが、ピアノはまだまだです。
私の調査では田老地区、宮古、山田町だけで100台のピアノが流されています。
現在手がけているのは、電子ピアノ2台納入(地元業者へ発注)、アップライトピアノ発送待ち1台、グランドピアノ修復2台、アップライトピアノ修復2台など進行中です。
しかし、これらには個別の詳細な調査と地元への配慮が欠かせません。
仮設住宅ではピアノが置けないのと、騒音対策としてヘッドホン使用が可能なピアノタッチ(ペダル付)の電子ピアノが望まれます。また、自宅修復や、実家への搬入なども、家族全員の了承を確認する必要があり、大変きめ細かい調査が必要です。
また、楽器はもって行けばいいのでなく、地元業者が倒産しないように地元発注の必要があります。高田の文房具屋さんは、全国からノートや筆記用具が大量に届いたため、3年間ぐらいは事業が成立しないと困り果てているとのことです。従って、我々は、地元の個別のニーズにこたえて、地域のことも配慮しながら事業を行っています。
先日のピアノ納入の例です。
ピアノが家ごと流失してしまい、現在は祖父母宅の実家で過ごしている。学校の全校合唱の伴奏をする予定の女生徒は何とか練習がしたいとのことで、アップライトピアノの納入を希望していた。本人、母親、祖父母も了承し、矢巾町から贈呈の申し出のあったアップライトピアノを、地元業者に配送・設置調整(調律を含む)お願いして納入が決まった。
ところが、父親が、世間体を気にして周りは困っているさなかにピアノを鳴らすのは・・・。とストップがかかった。そこで、電子ピアノに切り替え、何とか了承してもらい、ヤマハの電子ピアノを納入した。
こういった民間でしかできない、個別への対応を地道に行っています。何年もかかると思いますが、一人でも音楽をあきらめて欲しくないと思っています。
私は震災後何度も宮古に行っていますが、本当に多くの世界中からの支援を頂いているのを実感します。ほんとうに一つ一つがありがたいです。
ただ、時々ミスマッチがあり、善意を無駄にしてしまっているときもあります。その辺のコーディネートを上手くやるのが我々文化支援ネットワークの役割と思います。
愛さんと愛さんの周りのみなさんの善意を、見える形で届けれたらと思います。
24日もチャリティコンサートします。
先月末は被災地の依頼によるコンサートを実施し、音楽の力を本当に実感しました。
音楽の力を信じて今後も活動を続けていきます。
そのうちに全世界に向けて「ありがとう」コンサートをしなければと思っています。
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気づかせて頂きました。
ありがとうございます。
音楽をしている私から見れば、「こういうときこそ音楽で気持ちを和らげて前向きになってもらいたい」と思ってしまいますが、きっと現実はそんな甘くはないのでしょうね。実際私も震災のことを耳にした後数週間は、とても練習する気になれませんでした。
でも、この方も最後に書いてくださっているように、音楽の力でできること、信じていきたいですね☆