ネルヴィアーノのオルガン Nerviano

ミラノの西北、ネルヴィアーノ Nerviano という町のS.Stefano教会で、
夫とコンサートを弾いてきました。
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オルガン: カッレーラCarrera 1856年 / 修復 マッショーニ Mascioni 2008年
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典型的なイタリア19世紀のオルガン。
1段鍵盤しかないけれど、普通のオルガンより2オクターブ鍵盤数が多いので、
楽譜の普通のポジションよりも一オクターブ上げ下げすれば、音色の幅も広がるし、
鍵盤の高・低音部でそれぞれ違う音色を仕組めるので、色んな可能性が生まれます。
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その可能性が最大限に発揮できるのは、やはり楽器と同時代に書かれた作品を弾いた時。楽器あっての作品なんだと改めて感じさせられる瞬間。
相応しい楽器で練習しないとなかなか見えてこないことも、沢山あるのです。

鍵盤の右側に並んでいる棒(ストップ)は、鳴らすパイプの種類を選ぶところ。
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一つ一つの音色や音量をこの棒の操作で選んで変える以外に、
更に、足元には様々なレバーがついていることが多いです。

一度に全部のストップを引っ張れる装置(一瞬で大音量を出せる)、
リード管だけまとめて一度に引き出せるところ、
予め決めたストップだけを一度に引き出せるところ、
一オクターブ上の鍵盤が勝手に一緒に弾いてくれる(Terza mano=三つ目の手)、

などなどの装置のお陰で、手足で演奏しながら、右足でこの装置をたまにガチャっと踏み込んだりして、曲にいわば強弱や音色の変化を一瞬でつけることが出来る、というミラクル装置。

現代のオルガンだと、コンピューターが仕込まれていたりして、
もっと「効率的」にできますけどね、私はこんな「レトロ」なマニュアル式が好き(^^)。
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「レトロ」といえば、オルガンにはふいごがあって、ふいごで風を作りパイプに送り込むことによって音が鳴るのですが、このふいごは今は殆ど、電気の力を借りて動かしています。
しかし昔はもちろん人力。
普通はふいごを、梃子の原理で、大きいとその上に乗っかったりして動かすものが多いですが、ここではこんな手回し式のものが付いていました(↓左端)。初めて見たかも。
もちろん、今でも使えます。(コンサートのときは電動ふいごでしたけどね)
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この教会にはなんと3台のオルガンがあります。
一台は大オルガン。教会の後方に。
もう一つは電子オルガン。
最後の一つは、この(↓)正面祭壇裏に隠された小さな楽器。
これが意外と音量があったので、コンサートの時には、大オルガンとこのオルガンで、
掛け合いの演奏もしてみました。お客さんは前からと後ろからの音色に挟まれる感じ。
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丁度、アドヴェント第一日曜日だったこともあり、始めにまず、教会の子供聖歌隊のコンサートが。40分ちかく、みんな暗譜で、ソリストとして張り切ってがんばる子や、眠くてやっと立ってる子など、かわいかったです。
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続いて行われたオルガンコンサート。
実は教会としては、特別な思い入れのあるものでした。
というのも、この町の、とあるお金持ちの工場社長が、大金を寄付したお陰でこのオルガンの修復ができたのです。それまでの長い間、この楽器は音さえ鳴らないくらい壊れ果てていたんだとか。この方は他にもアフリカに学校を建てるために資金援助したりと、「お金の使い方を知っている」素晴らしい人だったそうですが、この修復のお披露目を待たずに、二年前、50数歳の若さで急病で亡くなったそうなのです。
そして、この日のコンサートの仕掛け人はこの未亡人でした。
子供聖歌隊の指揮をしたり、夫亡き後も方々でボランティアで活躍されています。
このコンサートで集めていた寄付金は、イスラエルの貧しい子供たちに送るそうです。

亡くなられたのはとても残念なことですが、このご夫婦の意思や思想が教会員の人たちにも感動を与えたことが感じられました。私たちは教会に着くまではそういった事情は何も知らなかったんですが、コンサートでは、大勢やって来たその人々から、暖かいエネルギーをたくさん戴いて帰ってきました。感謝!
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by organvita | 2010-12-01 20:01 | 見た弾いたオルガン | Comments(10)
Commented by yuuk at 2010-12-04 06:30 x
愛さん、こんばんわ〜。
ちょうど今夜、S.Rita教会の近くの部屋を見に行って、「ここに住んだら、またオルガンを気軽に聴けるようになるな〜」って思ってたところでした。
前と後ろから音色にはさまれる感じ。感じてみたかったです。
オルガンは、私には相変わらず、不思議なすてきな箱なのですが、手回し式のふいごもあるとは!いつか愛さんにふいご係が必要な時は、筋肉がっちりつけて、お手伝いしますよ(笑)

先日私が参加した展覧会による資金で、12人のガザの子供達を遠隔養子として援助できることになったそう。その子たちの経歴を見ながら、場所は離れていても、不思議なつながりで、みんなつながっているんだなあと思っていました。
愛さんのコンサートも、そのような、不思議なつながりがたくさん集まってできたものだったんですね。
そういうものに関れるのは、ある意味幸せ、幸せな気持ちにさせてもらえるなあと思いました。
Commented by fumieve at 2010-12-05 00:14
イタリアにいると、オルガンの演奏を聴く機会はときどきありますが、近くで見るチャンスはめったにないので、解説いただいて面白いです。ふ~ん。ちゃんと音色のラベルがついていたりするのも意外です。

ああ~ほんとにクリスマスが近づいてきましたねー。
Commented by ruggine at 2010-12-06 02:59
前と後ろからオルガンの音色に挟まれる・・・、なんて贅沢なひとときなんでしょう!!
いいな~。一度でいいから愛ちゃんとご主人サマの演奏、聴いてみたいです。
ローマで演奏会の予定はないんでしょうかーーー?
Commented by organvita at 2010-12-06 19:50
yuukさんへ。
へえ~!そのお部屋決まるといいですね~(^^)。オルガン目当てでお部屋を決めるなんて、かなりハイセンスですよ~(笑)!
ふいご係、よろしく頼みます!あ、薪割りもでしたね~!

ところで、12人の養子ですか!改めて素晴らしいことに参加したのですね!ほんと、こういったことに絵を描いたり演奏することで間接的でも関われるって、嬉しいですよね。幸せを分けてもらえる気がします。なにかまた出来るといいですね~!
Commented by organvita at 2010-12-06 19:54
fumieveさんへ。
そうですねー、オルガンって高くて見えないところにあることが多いですもんね。このときのコンサートは正面にスクリーンが立って、演奏風景を写していたんですよ。弾くこちらは緊張しますが、見る側は面白かったんじゃないかと思います。

クリスマスですねー。こっちでは昨日サン・ニコロのお祭りでした。ヴェネツィアでもあるんですか?
Commented by organvita at 2010-12-06 19:59
ruggineさんへ。
2台もオルガンがある教会って、やはりなかなかないですから、私たちも貴重な体験が出来て楽しかったです。
ローマでの演奏のご縁は残念ながらまだないんですけど、そんな嬉しいお話があればすぐにご案内しますね~!そしたらルッジネちゃんと聴きに来てほしいです~。猫踏んじゃった弾きます。
Commented by thallo at 2010-12-07 19:54
愛ちゃん、こんにちは。
素晴らしいコンサートだったんですね。私も近ければぜひ行ってみたかったなぁ。子供たちのコーラスも素晴らしいかったに違いないけれど、未亡人の方が仕掛けて天国のご主人に聞いてもらおうと、たくさんの人の心が一つになったルガンコンサート、想像するだけでワクワクします。愛ちゃんも、いつも以上に気持ちがこもった?私なら泣いてしまうなぁ。(照れ笑い)
いつもすごいな と思うのは、オルガンのボタンのこと。たくさん種類があって、オルガンごとに作りも違うんだろうにオルガニストってまるで自分のもののように抵抗なく弾いてしまうのね。
これからコンサートも多くなるだろうけれど、風邪に気をつけてね。愛ちゃんのお家の方も雪になったんだね。。
2月にスキーに実家に帰れるかな、と思ったけど出遅れて飛行機代高くなってしまった。。検討中です。
私、やっぱり北イタリアすきだなぁ。
Commented by organvita at 2010-12-09 11:26
thalloさんへ。
イタリアでスキーですか?!この辺まで来るかしら?!会えたらいいですね~(^^)。
私はこんなところに住んでいながらスキー出来ないんですよね・・・。みなにもったいない!って言われるんですけど!今年はスノーシューで散歩してみたいと思ってます!
Commented by woodstove at 2010-12-15 07:49
愛さん こんにちは。
パイプオルガンって、凄いからくりが仕込まれて
いるんですね。。。知りませんでしたよ。
だから、あのような荘厳な音色が聴けるのですね。
それを造っているなんて、これもまた尊敬いたします。
Commented by organvita at 2010-12-15 08:42
woodstoveさんへ。
造っているのは夫たちで、私は眺めて&出来上がったのを弾いてるだけなんですけどね(^^;)。でもおっしゃるとおり、いろんなからくりも仕込まれていて、本当に伝統職人技ですよ。国によってオルガンのからくりも違うので、それもまた旅の楽しみです(^0^)。
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