ヴェネツィア、バジリカ・デイ・フラーリ教会のオルガン

ヴェネツィアのバジリカ・デイ・フラーリ教会の2台の歴史オルガンが数年前に修復されたので、アポイントを取って見学させてもらいに行ってきました。
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見学させてもらったのは教会が開いている時間帯で、その間は撮影禁止なので、その様子をお見せできないのが残念ですが(というよりは、短い見学時間内で写真撮ってる時間ももったいなかった!)、教会中にはティツィアーノの有名な祭壇画「聖母の被昇天」をはじめ、ティツィアーノやモンテヴェルディの墓、埋め尽くされた絵画と彫刻で圧倒されます。

この教会には3台のパイプオルガンがあります。
一台は1927年のマッショーニ社の楽器で、このティツィアーノの祭壇画の後ろにパイプが隠されており、祭壇上にある演奏台と電機アクションで繋がっています。絵からオルガンの音色が響いてくるような感じです。しかし、この楽器も修理が必要なのですが、この絵画の裏とその後ろの壁の狭い空間に、パイプがまさに紙一重の状態で押し込められているため、あまりにリスクが大きく、いじれないそうです。(うっかりあの絵を傷つけでもしたら大変なことですからね)

残りの2台のオルガンは、1700年代の歴史楽器。
重厚な聖歌隊席部分の左右上部に、2台が向かい合うようにして鎮座しています。
決して大きな楽器ではありませんが、今回の見学のお目当ては、この2台。

祭壇に向かって左側:Giovanni Battista Piaggia 1732年
祭壇に向かって右側:Gaetano Callido 1795-1796年

どちらも素晴らしい楽器でしたが、特に左側のPiaggiaの楽器の、ああこれがイタリアの音だ!と思わせる、繊細で軽く透明な響きとタッチに、すっかり虜になった私たち夫婦。
ヴェネツィアに現存する演奏可能な楽器の中では、一番古いものになるそうです。
(詳しいオルガン仕様を見たい方はこちら参考にしてください)

それぞれの楽器を試奏させてもらい、2台のオルガンを同時に夫と連弾してみたり、
色んな美術品の前でボーっと立ちすくんだり、至福の時を過ごしました。
イタリアで普段生活していて、はっきり言って、イタリアに対して思う不満ややりきれないことも多々ありますが、こういう町で(特にヴェネツィアみたいな町は特別!)この国の文化芸術を嫌でも肌で感じさせられると、ほんとイタリア人には敵わないなー格別だなーと思わされてしまいますね。・・・悔しいけど(笑)。
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さて、心満たされたあとは、腹も満たしたいってことで、ランチ。
偶然にもこの日は一ヶ月遅れの結婚記念日だったので(当日は夫は出張だった・・・)、
美味しいものを食べにいきました~!
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ただぶらぶら歩くだけでも楽しいヴェネツィア。
まだ行ったことのない&もう一度行きたい美術館や博物館もたくさんあるんですが、結局毎回、ランチのワインで気持ちよく酔っ払って、酔いを醒ましながらぶらぶら散歩していると日が暮れてしまう、というパターンを繰り返してます・・。まあそれも良し。
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老後はヴェネツィアか京都に住みたいなーと言ったら、100歳になっても階段の登り降りができるように鍛えとけってことになって(ヴェネツィアは橋だらけ)、夫と「毎日どんなことがあっても1時間歩く」宣言をしたのですが、すでにこの日歩き疲れ、それからまだ一日も達成できてません。意思弱すぎ。
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私もヴェネツィア大好き&行ってみたいという方はクリックしてね(^^)。
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Commented by fumieve at 2010-10-29 05:44
くう~~~っ残念!!!
あらかじめ知っていたら、お二人がオルガンを見学&試演される時間に、観光客のふりして教会に入っていたのに・・・。うーん

またヴェネツィアにおいでになるとき、あるいはどこかで演奏される機会などあるときは、ぜひお知らせください!
Commented by woodstove at 2010-10-29 06:45
 素敵な結婚記念日になりましたね。
歩いて楽しい街。なんとも贅沢な時間を過ごせる街。
ボクもそんなトコロに暮らしてみたいです。
Commented by yuuk at 2010-10-29 18:07 x
> イタリアで普段生活していて、はっきり言って、イタリアに対して思う
> 不満ややりきれないことも多々ありますが・・・
> この国の文化芸術を嫌でも肌で感じさせられると、ほんとイタリア人には
> 敵わないなー格別だなーと思わされてしまいますね。
いや〜、ほんと、そうなんですね〜。共感〜。
う〜ん、ほんとにね〜(しみじみ)・・・これがあるからい続けられるっていうか・・・見直してしまうっていうか・・・あ、うまくだまされてるの、私たち?!(笑)
でもこういう気持ちって、日本にいて研究、お仕事されてる外国の方たちも、そう思っているのかな、と振り返ってみたりもして。
まだオルガンに興味のない頃しかヴェネツィアには行ったことがないので、今度行く時は、ジロジロッと見てきたいと思います^^。
ここでもたまにオルガンを見る機会があると、どういうのなんだろうな〜と、愛さんにビュ〜ンと来ていただけたらな〜と思ってますよ。
Commented by batanosuke- at 2010-10-31 13:37 x
フラーリと言えばティツィアーノしか知らず、そんなにオルガンがあったなんて知りませんでした。
イタリアの音、というのがどういうのかも知らないのですが聴いてみたいな。

ちなみに今日はメストレのオルガンコンサートに行きますヨ。
詳しくないけどオルガン好きなので、その内子供に習わせたい!と思っているのですが、子供からレッスンできるものですか?最初はピアノ??
もしよろしければご教示願いたく宜しくお願いします!
(そもそもメストレ周辺に知っている講師もいないんだけど。)

ヴェネツィアか京都。確かに素晴らしい文化ですよね。
いや、でもドロミテの自然もステキですー。
Commented by ちびっちょ at 2010-10-31 23:23 x
お久しぶりです(^^)!やっとたどり着きました。ご無沙汰してごめんなさい。でもこのページににたどり着いてよかった!だっておめでとうが言えるもの!一ヶ月遅れの結婚記念日おめでとう!仲むつまじくオルガンデュエットが出来るなんてうらやましい限りです♪
なんだか写真の腕も上げたのではないでしょうか?!他のページも本当に綺麗な写真がいっぱいで、つかの間のヨーロッパの空気を楽しめます。
ヴェネツィアか京都に住みたいのか・・・神戸もいいよ、なんちゃって。。。
また遊びに来ますね☆
Commented by njs2005 at 2010-11-02 20:36
ヴェネツィアって確か水位が年々上がってきて大変なことになってるんじゃなかったですかね?ヴェネツィアじゃなかったかなぁ・・・
Commented by organvita at 2010-11-03 08:13
Fumieveさんへ。
早速遊びにきてくださってありがとうございます!
いつかfumieさんにヴェネツィア案内していただけたら素敵だなあ~なんて(^^)。もしまたヴェネツィアにオルガン見学にでもいく機会があったらご連絡しますね!
Commented by organvita at 2010-11-03 08:16
woodstoveさんへ。
本当にヴェネツィアは素敵ですよ~。
でも良く考えて見ると、島には木も少ないし、薪ストーブはあまりないのかもしれませんね。昔はゴンドラで本島から運んだりしていたのかしら?!
Commented by organvita at 2010-11-03 08:17
yuukさんへ。
そうそう、「うまくださまれてる」気がしますよね。わかってくれて嬉しい~!わははは!ヴェネツィアは絵画の宝庫ですから、yuukさんと一緒に歩いたら色んなこと勉強できそうだなあ。いつか一緒に行けるといいですね(^^)。
Commented by organvita at 2010-11-03 08:47
batanosuke-さんへ。
メストレでオルガンコンサートですか!メストレのオルガンはまだどこも見たことないんですが、コンサートいかがでしたか?!

オルガンの子供のレッスンですが、もちろんオルガンで勉強始めることもできますよ。でも、もし周りにオルガニストで子供にオルガン教えてくれるいい先生がいなかったら、まずはピアノから始めてみてはいかがでしょう(^^)。それで、楽譜もしっかり読めるようになって、手の形もある適度できてきてからオルガンに代えても、全然大丈夫ですよ。私自身もそのパターンです。
今オルガンを弾きたいって子供にもちょっと教えてるんですけど、鍵盤楽器初心者の子供には、ピアノの教材でオルガンを弾かせてます。

島にいけばConservatorioもあるし、音楽教室もあるんだと思うんですが、メストレにはどうなんでしょうね。Frariのオルガニストさんにその辺聞いて見ましょうか??
Commented by organvita at 2010-11-03 08:52
ちびっちょちゃんへ。
久しぶり~!神戸も住みやすそうだよね!古い日本と異文化が混ざり合ってる不思議な雰囲気で素敵だよねー。私が最後に神戸に行ったのはもうかれこれ留学前だなあ・・・(すごい前だわ・・・汗)。
記念日祝いありがとう(^^)。「かずる」ちゃんから戴いた色紙(覚えてる?!)見るたびにクスッと笑ってます。
Commented by organvita at 2010-11-03 08:55
njsさんへ。
そうです、ヴェネツィアです!海に巨大な動く堤防を作る壮大な計画が立てられているんですが、本当に実現するのかなあ・・。
by organvita | 2010-10-28 19:01 | 見た弾いたオルガン | Comments(12)

北イタリア・ドロミーティ渓谷で暮らすパイプオルガン弾き吉田愛のスローライフを綴っています。猫のバンブー♂も度々登場。


by organvita
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