マレオ Maleo のオルガン

いろんな方にご心配いただいた原稿も、第一関門突破のキザシが見えてきました。
(まだ突破したわけじゃあない・・・汗)
第二関門へ入る前に、ちと息抜き更新~!
(てか、息抜きばっかりしてるから未だ関門突破できてない、とも言える・・・)
ちなみに、2週間かけて汗だくで(?)書き上げた原稿を要約して(原稿は日本語)夫に
聞かせたところ、「こんな程度なら一時間あれば書けるでしょ」とさらっと言われました。
「か、書けるもんなら書いてみい~!!!!!!」
・・・はっ、すんません。
今日の話題は、11月始めに弾かせていただいたコンサートのレポートです~


ミラノの南、ローディ Lodi という町の近郊にある、歴史楽器を使ったコンサートシリーズに、夫と一緒に参加してきた。
私たちに与えられた教会は、マレオ Maleo という小さな町の、この教会。
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中は、一面絵画の描かれた、素敵なバロック様式の教会。
オルガンは正面の祭壇の両脇上に、2台配置されている。わかりますか?
典型的なイタリア・オルガンの配置。
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少し横へ行くと、オルガンのパイプが見えてくる。
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真下から見上げてみる。
オルガンのケースと、教会の装飾が美しく溶け合っている。
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オルガンバルコニーに登って、その向かい側(右側)のオルガンを見たら、
「本日休業」。
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イタリアのオルガンって、パイプの前にこうやってブラインドを降ろしたり、木の扉がついていたりする。それは、パイプの埃除けだったり、典礼上の理由(例えば、イースター前などの喪に服す期間などはオルガンは弾かれず、こうやって閉めておくことで、視覚上の効果もあった)とか、色々な理由がある。

このオルガンの「ブラインド」は、本当のカーテンじゃなくて、絵画!よく見てください~!
その上、よく見たら演奏台のあるはずの部分に何も無いから、もう演奏できない。
カーテンの後ろには、もうパイプもないのかもしれない。
「本日休業」というより、「閉店」ですな。残念。

そういう訳で、今回弾いたのは、この左側のオルガン。
オルガンバルコニーはこんなに狭い。
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この日弾かせていただいた楽器は、イタリア19世紀を代表するオルガン工房のひとつ、セラッシ Serassi のオルガン。
セラッシのオルガンを、演奏会で弾くのはこれが初めて!ラベルを記念撮影。
この気楽な手書きの感じがアンティークっぽくていいでしょ?
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オルガン:
セラッシ兄弟 Fratelli Serassi (ベルガモ) 1835年制作。
マッショーニ社 Mascioni 1987年修復。
ダニエレ・ジアーニ Daniele Giani 2003年整音、清掃。

25ストップ、 1020パイプ。
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典型的なイタリアオルガンの演奏台。(↑)
1段鍵盤+ペダル。
ペダルボードは、奥がぐっとせり上がった形。1オクターブ半しかありませんが、
実際にはもっと少ない。何故かというと・・・この先、オタクの方は読んでください。
でなければ、読み飛ばしてね(^^)

この「ファ」のペダルは、音が鳴るのではなく、「テルツァ・マーノ(3つ目の手) terza
mano」というスイッチ。これを踏み込むと、手鍵盤で弾いている音の1オクターブ上が
勝手に連動して弾いてくれる。F.リストのオクターブの超絶技巧なんか、このスイッチがピアノに付いてれば楽チンなのに。

「ソ」のペダルを踏むと、オルガンの中に仕掛けてある超低音のパイプが二本、「ぼぼぼぼ」と鳴って、大太鼓みたいな効果を出せる。

その上方に出ている二本の棒:
手前は、「ティラ・トゥッティ Tira tutti」と呼ばれ、右足でお行事悪く踏み込むと、
右側上にあるストップを一斉に入れられる機械仕掛け。「ここからパッとフォルテ!」って
したい時に股を開いて踏み込みます(笑)。

奥の棒は、予め仕込んでおいたストップの組み合わせに、一斉に変更できる優れもの。
現代ではコンピューター仕込みですが、この時代のは正真正銘機械仕掛け。

こちら(↓)はストップ。音色を選ぶところ。
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普通ストップは、手前に引っ張る鍵型が一般的だけど、イタリアにはこういう、左に移動させるストップシステムが多い。移動させてから溝にカクっと、はめ込みます。
便宜上、誰かが数字札を貼ったみたい。これなら弾きながらアルファベットを読まなくていいので楽。

丸一日たっぷり練習させてもらった後、夜コンサート。
こういうオルガンにきたら、やっぱり楽器と同じ年代のイタリア作品を弾かなきゃ損?!
連弾曲3曲の合間に、それぞれソロも弾いて、イタリアン満載の楽しいコンサートとなりました。


最後に・・・
このオルガンへ、どこから登るかというと、ここ。・・・は?
お見事。いわゆる「オリロー非難ばしご」です。・・・てか、ありえないんですけど・・・笑。
このハシゴは、司祭室から登っていきます。

昔は素敵な螺旋階段があったそうな。それが、この下あたりに聖人のお墓があって、参拝に来る人に階段が邪魔だろうってことで撤去。「開閉式」のこのハシゴにしたんだって。
ちなみに、無名の聖人の参拝に来る人はほとんどいないらしい。ああ。
「オルガンへの階段写真収集家」の私(?)としては、かなりのレアものを仕入れました(笑)。
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練習に登ってくる夫。命がけです。ギシギシうるさいです。
もしもどこかの老大家が演奏に来て、階段でふらついて落ちて死んだら、どうするつもりなんでしょう。・・・尤も「非難ハシゴ」なくらいだから、安全性はピカ一なんでしょうけど。
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by organvita | 2009-11-26 19:39 | 見た弾いたオルガン | Comments(14)
Commented by momousa at 2009-11-26 22:21 x
えええっっ!まだ原稿終わってないんですか!!(プレッシャーかけてるわけではありません)。ああ、あの時、あの日、あなたが羊ちゃん達からもらったパワーを無駄話で使わせてしまったのか、と思うと、、ものすごおおく罪悪感が、、。ところで、オタク向け説明勉強になりました。でもペダルのあの傾き度は何!!あ、あり得ない!ペダル黒鍵に色がついてないだけでパニック起こして敵前逃亡して先生に怒られた私としてはorganvita先生の適応性に脱帽です。そのオルガン適応へのしなやかさと強靭な胃袋を武器に今日も明日も各地のオルガンコンサートへ赴くあなたの姿に拍手を贈らずにはいられません!!原稿完成を祈ります。
Commented by Tsuyoshi Ono at 2009-11-26 23:10 x
ブログの更新状態を見て、多分大変な状態になっているんだろうなと思いながら、静観してました。大変な仕事の中での息抜きなのかここを更新している点はすっごいなと思っています。
ミラノのこの教会のオルガンは、すごく雰囲気がいいですね。梯子がいい味出してますよ。登ってくる夫くんも。
minecoさんのとこのブログで、愛さんの築地本願寺でオルガンを弾いている表情とお魚をいただいている表情を見ちゃいました。愛さんの表情、私はますますお気入りになりました。
Commented at 2009-11-27 18:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-11-28 05:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by chiho at 2009-11-30 01:14 x
原稿の締め切りに追われれば追われるほど、他のことがしたくなる気持ち(しかも普段はしないようなこと)、判ります~(笑)。そうそう、先日、フィレンツェのサンタ・クローチェ教会に行ったら立派なパイプオルガンがありました。今度演奏を聴いてみたいなあ。
Commented at 2009-11-30 05:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by organvita at 2009-11-30 18:50
momousaさんへ。
原稿、お陰さまで第一関門突破しました(笑)。「無駄話」聞いていただいたお陰ですよ~!感謝感謝!
「強靭な胃袋」がオルガンへの適応性の武器ですかね、やっぱり。わはは。その点はmomousaさんも負けてないっす。また美味しいもの食べに行きましょう~(^^)
Commented by organvita at 2009-11-30 18:59
11.27の鍵コメさんへ。
えええ~?!ソコにいるのね!実は実は、ソコへこの間ちょっと行ったのよ・・・あああ。残念!私がちゃんと事前に連絡したらよかったんだけど、例のごとく駆け足の滞在で・・・ごめんなさい・・・。今度は必ず!!!
でも、お仕事見つかってよかったね。おめでとう!!
その、もう1つのブログのアドレス、よかったらまた教えてください~!
Commented by organvita at 2009-11-30 19:01
Onoさんへ。
お陰さまで、原稿は一段落です(汗)。
ミラノから外れた、素朴な町なんですけど、教会はご覧のように素敵&豪華でした。
ミネコさんのブログ、私も早速確認してみました。かなり真剣ですね、私。食べてる時も尚更。わはは。
Commented by organvita at 2009-11-30 19:06
11.28の鍵コメさんへ。
こちらこそご無沙汰です~!寒いですねー!今日はこちらは完全に雲の中です・・・。またお電話します(^^)
実はお近くで演奏する機会があるかも?!
Commented by organvita at 2009-11-30 19:19
chihoさんへ。
フィレンツェは町の中だけでも教会が多いから、きっとオルガンも沢山あるんだと思いますよ。フィレンツェのオルガン事情には疎いんですが、いつか私も聴きに行きたいです(^^)そのサンタ・クローチェ教会のオルガンも気になりますね!
Commented by organvita at 2009-11-30 19:22
11.30の鍵コメちゃんへ。
この間は楽しかったねー!またしましょう(^^)
私のブログは単なる現実逃避だからねえ(汗)。だから更新も頻繁なわけだよ。とほほ。
ねえねえ、続き郵便で送ろうか?!気になるでしょ?!あと10枚くらいあるよ(笑)。遊びに来てくれて一緒に見れたら最高だけど!
韓国料理食べたくなる気持ちよーく解る!私もそうだったわ。笑
Commented by yuuk at 2009-12-02 05:54 x
おおっと、原稿大変そうだから、まだまだ更新はないかな〜と、愛さんを見くびっておりました。失礼!(笑)。コメント遅くなりました。
ああ〜、このオタク向けの説明^^、いや〜すごい!!昔の人はすごいね〜!!こんなこと発明したんだね〜と、すっかりのめり込みました。とはいえ、所詮詳しくはないので、ほほ〜〜〜〜〜!!!と思いつつ、ますますオルガンが魅惑的な謎の箱になっております(笑)。
だって、鍵盤楽器なのに、実は管楽器で〜、いろんな音を出したいから、ペダルやストップなどに、トリッキーな仕掛けがあって〜・・・。
このブラインドのだまし絵、イタリアですね〜!!(笑)
でも、この非常梯子のあとの入り口、太ったオルガニストには、かなり入るのが難しいのでは?^^;
Commented by organvita at 2009-12-02 09:11
yuukさんへ。
コメントいつもありがとう(^^)。
わはは、シゴトよりもブログが優先順位先なワタシ(笑)。でも無事に終わりました~。
私も新しいオルガンに出会うたびに毎回驚くことがあるんだけど、こうやって写真で見てもらうより、実際に触ってもらった方がずっと解りやすいんだと思います。今度一緒にどこか見学できたらいいですね(^^)。
「ブラインドのだまし絵師」っていう職業、あったらいいのにね(笑)。
階段先の入り口、かろうじて通れました、私たちも。たぶんドイツ&アメリカの体でかいオルガニストは、マジで通れないと思います(汗)。
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